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キリミミ 

街の中、電車やバスの中で、みかけた光景あれこれ。
人様をじろじろながめまわすのは失礼なので、
何かをキャッチすると、もっぱらミミがダンボ状態。
(でも結局、チラチラと見ちゃうんだけどねっ)
■バックナンバーは、下のほうにゴザイマスなのです■



  薔薇公園にて

 時は五月。
 風薫る季節。それは唐突に決定した。
 「よし、バラ公園いこう」
 私は、天気がいい五月下旬だというそれだけの理由で、昼食はバラ公園で食べることを決めた。
 車で10分ほどでいけるバラ公園だが、歩いていくほどの情熱はなかった。そんなときはアレだ、同居人の中で唯一の普通免許保持者、熊太郎先生なのだ(注・父のことである)。
 「おとうさんバラ公園いこか」
 「ええな、いこか」
 さすが熊太郎先生だ。最近ネットの囲碁で調子がわるく、級がおちてしまってしょんぼり気味の先生には、まだ絵を描くという趣味があった。 主に風景画を描く先生は、花や木や山など自然観察を好む傾向があるのを知っている私は、まずこうやって「足」を確保した。あとは「食事」を調達すればよい。すかさず母に提案。
 「お天気いいからバラ公園いかへん? おにぎりもって」
 母もまた、花を愛する人である。ノーと言うはずもなく、かくして私の思い通りの休日となった。
 給料日であったが、まだお金を引き出しにいっていなかったため、サイフには600円ほどしかなかった。しかし運転手の熊太郎先生のためのコカコーラ350ml缶と、自分の飲み物には愛媛の真面目なジュース「ポンジュース」の500mlペットボトルを選択して購入。
 おにぎりは全て母が製作。梅干をまぜて海苔をまいたものと、高菜でくるんだもの、そして 「カチカチのゴハン、チンして作った」と、母が得意満面に差し出した焼オニギリの合計三種。
 よし全部揃った、出発!

 10分でバラ公園着。平日なのに駐車場は満車。
 こんな日は妙に平均年齢が高い。  色とりどりに咲き乱れる満開の薔薇にまざって、あちこちに白っぽい頭が見える。
 いくらなんでも多すぎないか、と思ったら、どうも高齢者のための施設から遠足にきている模様。 車椅子の人がたくさんで、ヘルパーさんたちが坂道を押してあがるのが大変そうだった。
 ヘルパーさんは、おばあちゃんバラの匂いをかぎたそうにすると、そっと花の向きをかえてあげたり、 写真をとろうとしてる人は、ぶれないようにしっかり支えてあげたりしていた。 介護者としては当たり前のことなのかもしれないが、 その小さな気遣いを見ていて涙が出そうになった。


 しばらくして、公園を半周し一番上の花壇から下をみおろしていると、入り口にバラに負けないくらいのカラフルな集団がいるのを発見した。 30から40名くらいはいるだろうか。ただし華やかな衣装をまとった若い女性などではない。 彼らの服装はきわめて地味なものだった。
いや、若い女性もいるにはいるが、その若さたるやハンパではない。
 カラフルなのは彼らの頭部。暑い日差しから、将来を期待される頭脳を守るためのキャップの色だった。
 ピンク、ブルー、イエロー、パープル、オレンジ。
 そう、遠足にきたのは、お年寄りだけではなかったのだ。

 幼稚園児はやたらとまぶしい。
 それはきっと、彼らのココロがすすけていないからだ。

 小中学生の中から、人を殺める者が出る時代。
 咲き誇るバラを見て、まだ学校にもいかぬ彼らは何を感じるだろうか。

 きれいね、でもいい。
 いいにおいだね、でもいい。
 でも、きれいに咲いているバラばかりではないことに、なんとなくでいいから気づいてほしい。

 花と同じように人間も枯れていく。
 いつかは散ってしまう命。

 人生のプロローグとエピローグが同時に展開されている気がしないでもなかった、そんなバラ公園。

 私は、プロローグからはだいぶ経った。
 でも、エピローグまでは、まだ時間があるはず。
 さて----どんな道をいこうか。

 ・・・・・・そんなことを思いながら、焼オニギリをほおばる。
 うーん、なんつーかこー。
 絵にならねぇ女だね、まったく。



2005/05/25
   
2001年〜2002年の観察記録(?)
1>
■裏切り
■花の道の少女達
■父の日に回る寿司
■不審人物とアンパンマン
■母と娘
 
2> 
■午後8時、駅前の微笑
■消毒用アルコールの芳香
■電波とツララに勝るもの
■ビニールの下
3> 
■振り向けば、奴がいた
■春が来た
■プライスダウン ハンター
■お月見の夜

4>
■かわいそう
■只今吸血中
■しょっぴかれーズと茶碗蒸し
■ちんちくりんの理由

5>
■何でも相談会
■業務用無線交遊
■嗚呼、部分的鹿鳴館。
■花嫁衣裳はスパイシー